モデルロケット競技一般にそうなのだが、種子島モデルロケットコンテストの高度競技においてもリカバリシステム(最高高度に達したのち、安全な速度で降下するための減速装置)が正常に動作しなければ失格になってしまう。
リカバリシステムの不調は過去何度も経験しているが主な原因は以下の通り。
1 ノーズコーンなど、エンジンの逆噴射により抜けるべき部分が抜けない。例えば、ノーズコーンが
抜けなかったために放出されなかったなどだ。
2 リカバリシステムを接続しているゴムや糸が火薬の炎で焼き切れる。熱に強いケブラー糸やゴム
ひもを使えば燃えて切れることはほとんどない。
3 パラシュートやストリーマーが熱で固着してしまい展開しない。特にパラシュートなどではありが
ちな事故だ。普通はリカバリーワディングという不燃紙を入れて炎が直接当たらないようにする
が、それでも隙間から漏れる炎にやられることもある。つめかたは意外と経験を要する。
今回用意した機体も何度か打ち上げテストを実施しているが、本番と同じC型エンジンでのテストはおこなってこなかった。400mを想定した飛行は高度制限に引っかかり、許可を取らなければ実施できないためだ。
そこで、地上に置いてリカバリシステムが正常に放出されるかをテストした。
今回のリカバリシステムはエンジンマウントの周囲に配置し、エンジンマウントやトランジョン部、フィンなどがボディチューブから放出される形をとっているので、実際に「マウントセクションがスムーズに抜けるか」「マウント前方の隔壁は正常にストリーマーを保護するか」の2点を中心にテストした。
結果、放出自体はうまくいったがストリーマーが一部溶けて固着したところがあった。
本番なら「不展開」として失格になる可能性もある事態だ。
原因は、エンジンマウント兼インナーチューブと本体をつなぐショックコード(建築用水糸)を9番輪ゴム2重を介して接続したことにあるようだ。
逆噴射の瞬間、インナーチューブが熱で変形し隔壁に隙間ができてストリーマーが解けたと思われる。
対策は簡単で輪ゴムをエンジン側に留めるようにすることで変形は防げるだろう。